「仕訳」とは何か?簿記3級の基本をイラストで解説
簿記3級の「仕訳」をゼロから解説。借方・貸方の意味、5つの勘定科目グループのルール、取引を仕訳に変換する3ステップをテキスト図でわかりやすく説明。練習問題3問つき。
この記事でわかること
- 仕訳の意味と、なぜ必要なのか
- 借方・貸方の位置と使い分けの考え方
- 仕訳の書き方と読み方の基本
- 実際の取引を仕訳に変換する手順
仕訳とは何か
仕訳(しわけ)とは、会社で起きたお金の動きを、決まったルールで左右に分けて記録することです。
「仕訳」という言葉は難しく聞こえますが、やっていることはシンプルです。たとえば「商品を売ってお金をもらった」という出来事を、簿記のルールに従って記録する作業が仕訳です。
簿記3級の試験では、この仕訳が正確に書けるかどうかが合否を大きく左右します。第1問の配点だけで45点(全体の45%)を占めるため、仕訳を理解することが合格への最短ルートです。
なぜ仕訳が必要なのか
会社は毎日たくさんの取引をしています。商品を売ったり、経費を支払ったり、借金を返したり。こうした取引をすべてメモしておくだけでは、後から「今いくら持っているか」「どれだけ儲かったか」を把握できません。
仕訳は、取引を統一されたルールで記録することで、あとから財務諸表(損益計算書・貸借対照表)を正確に作れるようにするための仕組みです。
取引が起きる
↓
仕訳で記録する(簿記のルールに従って左右に分ける)
↓
帳簿に集計する
↓
財務諸表(決算書)を作る
↓
会社の状態がわかる
仕訳は、この流れの出発点です。
仕訳の基本構造:左右に分けるとはどういうことか
仕訳では、1つの取引を必ず左(借方)と右(貸方)に分けて記録します。
| 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|
| 勘定科目 金額 | 勘定科目 金額 |
重要なルール:借方の合計金額と貸方の合計金額は必ず一致する
これが簿記の大原則「貸借平均の原理」です。左右の金額が合わない仕訳は、必ずどこかに誤りがあります。
勘定科目とは何か
仕訳に登場する「現金」「売上」「買掛金」などの言葉を勘定科目といいます。
勘定科目は、取引の内容を分類するための「ラベル」のようなものです。現金のやり取りは「現金」、商品の販売は「売上」、経費は費用の種類ごとに「給料」「通信費」「消耗品費」などと記録します。
簿記3級に登場する勘定科目は、すべて以下の5つのグループのいずれかに属します。
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5つの勘定科目グループ
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【資産】 会社が持っているもの・権利
例:現金、売掛金、備品、土地
【負債】 会社が負っている義務・借り
例:買掛金、借入金、未払費用
【純資産】 資産から負債を引いた正味の財産
例:資本金、繰越利益剰余金
【収益】 会社が稼いだお金の源
例:売上、受取利息、受取手数料
【費用】 会社が使ったお金・コスト
例:仕入、給料、通信費、減価償却費
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借方・貸方のルール
各グループには、「増えるとき」「減るとき」にどちら側(借方・貸方)に書くかが決まっています。
| グループ | 増えるとき | 減るとき |
|---|---|---|
| 資産 | 借方(左) | 貸方(右) |
| 負債 | 貸方(右) | 借方(左) |
| 純資産 | 貸方(右) | 借方(左) |
| 収益 | 貸方(右) | 借方(左) |
| 費用 | 借方(左) | 貸方(右) |
- 資産と費用は借方で増える
- 負債・純資産・収益は貸方で増える
このルールを覚えておけば、仕訳の借方・貸方は「思い出すもの」ではなく「導き出せるもの」になります。
仕訳の書き方:ステップで理解する
実際の取引を仕訳に変換する手順を、ステップごとに見ていきましょう。
例題:商品を¥50,000で販売し、代金を現金で受け取った。
ステップ1:取引を読んで「何が動いたか」を探す
「商品を¥50,000で販売し、代金を現金で受け取った」
↓
動いたもの:① 現金 ② 売上
ステップ2:各勘定科目が「増えたか・減ったか」を判断する
① 現金 → 受け取った → 増えた
② 売上 → 販売した → 増えた(発生した)
ステップ3:グループを確認して借方・貸方を決める
① 現金(資産)が増えた → 資産の増加 → 借方(左)
② 売上(収益)が増えた → 収益の増加 → 貸方(右)
完成した仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 50,000 | 売上 | 50,000 |
✓ 借方合計 = 貸方合計(¥50,000)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 50,000 | 売上 | 50,000 |
仕訳の読み方
仕訳を見たとき、何が起きたかを読み解く練習もしておきましょう。
次の仕訳はどんな取引を表しているか?
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 30,000 | 買掛金 | 30,000 |
読み解き方:
借方に「仕入(費用)」→ 費用が発生した → 商品を仕入れた
貸方に「買掛金(負債)」→ 負債が増えた → 後払いの義務が生じた
つまり:「商品¥30,000を掛けで仕入れた」という取引
よく出る取引の仕訳パターン
仕訳の形式に慣れるために、よく出る取引を確認しておきましょう。
パターン1:現金の収支
現金を受け取る → 現金(資産)が増える → 現金が借方
現金を支払う → 現金(資産)が減る → 現金が貸方
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 商品を売って現金受け取り | 現金 | 売上 |
| 経費を現金で支払い | 費用科目 | 現金 |
パターン2:掛け取引
掛けで売った → 売掛金(資産)が増える → 売掛金が借方
掛けで買った → 買掛金(負債)が増える → 買掛金が貸方
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 商品を掛けで販売 | 売掛金 | 売上 |
| 商品を掛けで仕入れ | 仕入 | 買掛金 |
| 売掛金を現金回収 | 現金 | 売掛金 |
| 買掛金を現金支払い | 買掛金 | 現金 |
パターン3:資産の購入と費用の支払い
固定資産を買う → 資産が増える → 資産科目が借方
費用を支払う → 費用が増える → 費用科目が借方
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 備品を現金で購入 | 備品 | 現金 |
| 給料を現金で支払い | 給料 | 現金 |
| 通信費を現金で支払い | 通信費 | 現金 |
仕訳でよくある疑問
Q1. 「借方」「貸方」はどうやって覚えるの?
借方=左、貸方=右、と位置だけ覚えておけば大丈夫です。
| 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|
| か(借)↓ ひだり | か(貸)↓ みぎ |
「借方=左・貸方=右」の語呂合わせとして、「借(か)りかた(方)は左、貸(か)しかた(方)は右」と覚える人も多いです。
Q2. 借方と貸方の合計が合わないときはどうする?
必ずどこかに誤りがあります。以下の順番でチェックしましょう。
① 金額の計算が合っているか確認する
② 勘定科目を正しく選べているか確認する
③ 借方・貸方の位置を逆にしていないか確認する
④ 仕訳を1本書くべきところを2本に分けていないか確認する
Q3. 複合仕訳とは何ですか?
1つの取引で3つ以上の勘定科目が動く仕訳を複合仕訳といいます。
例:短期借入金¥100,000と利息¥1,000を現金で返済した。
動くもの:
① 短期借入金(負債)→ 減った → 借方
② 支払利息(費用) → 増えた → 借方
③ 現金(資産) → 減った → 貸方(合計¥101,000)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 短期借入金 | 100,000 | 現金 | 101,000 |
| 支払利息 | 1,000 |
複合仕訳でも「借方合計 = 貸方合計」のルールは変わりません。
仕訳を書く練習:3問チャレンジ
理解を確認するために、自分で仕訳を書いてみましょう。
問1 事務用品¥2,000を現金で購入した。
解答・解説を見る
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 2,000 | 現金 | 2,000 |
消耗品費(費用)が発生し、現金(資産)が減った。
問2 得意先から売掛金¥70,000が普通預金に振り込まれた。
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| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 70,000 | 売掛金 | 70,000 |
普通預金(資産)が増え、売掛金(資産)が減った。
問3 銀行から¥500,000を借り入れ、普通預金に入金された。
解答・解説を見る
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 500,000 | 借入金 | 500,000 |
普通預金(資産)が増え、借入金(負債)が増えた。
まとめ
仕訳を正確に書けるようになるために、次の3つの問いを順番に考える習慣をつけましょう。
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仕訳を書くときの3つの問い
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① 何が動いたか?
→ 取引で動いた勘定科目を探す
② 増えたか、減ったか?
→ 各勘定科目の動きを判断する
③ 左右は合っているか?
→ 借方合計 = 貸方合計を確認する
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この3つの問いを自分に投げかける習慣が身につくと、初めて見る取引でも迷わず仕訳を導き出せるようになります。仕訳は最初は難しく感じても、練習を重ねるうちに自然と手が動くようになります。まずは今日の例題3問を繰り返し解くことから始めてみましょう。
この記事はトッパス(topath.jp)が提供する簿記3級学習情報です。トッパスでは、CBT形式に対応した仕訳練習と学習ダッシュボードで、あなたの合格をサポートします。