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固定資産の売却仕訳|期中売却の月割減価償却と売却損益の求め方

学習法

固定資産の売却仕訳を帳簿価額・売却損益の計算から解説。間接法・直接法の違い、期中売却の月割減価償却を5ステップで整理。代金が後払いの場合の未収入金処理と間違えやすいポイント4点も収録。

この記事でわかること

  • 固定資産を売却したときの仕訳の手順
  • 帳簿価額・売却損益の計算方法
  • 期中売却で月割減価償却が必要になる理由と計算式
  • 直接法・間接法それぞれの売却仕訳の違い

固定資産売却の基本的な考え方

固定資産を売却するときは、次の3つを帳簿から処理します。

① 固定資産(取得原価)を取り除く
② 減価償却累計額(間接法の場合)を取り除く
③ 売却価額と帳簿価額の差額を売却損益として計上する

この3つを同時に1本の仕訳で処理します。

売却損益の計算式

帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額
売却益   = 売却価額 − 帳簿価額(売却価額 > 帳簿価額のとき)
売却損   = 帳簿価額 − 売却価額(帳簿価額 > 売却価額のとき)

間接法による売却仕訳(期首売却)

例題1:売却益が出る場合

備品(取得原価¥600,000・減価償却累計額¥360,000)を¥280,000で売却し、現金を受け取った。

計算

帳簿価額 = ¥600,000 − ¥360,000 = ¥240,000
売却益   = ¥280,000 − ¥240,000 = ¥40,000

仕訳

借方金額貸方金額
現金280,000備品600,000
備品減価償却累計額360,000
固定資産売却益40,000

コツ:借方に「現金+累計額」、貸方に「取得原価+売却益」をまとめて書く。借方合計(¥640,000)=貸方合計(¥640,000)を確認する。


例題2:売却損が出る場合

備品(取得原価¥600,000・減価償却累計額¥360,000)を¥180,000で売却し、現金を受け取った。

計算

帳簿価額 = ¥600,000 − ¥360,000 = ¥240,000
売却損   = ¥240,000 − ¥180,000 = ¥60,000

仕訳

借方金額貸方金額
現金180,000備品600,000
備品減価償却累計額360,000
固定資産売却損60,000

コツ:売却損は借方に計上する(費用)。売却益は貸方に計上する(収益)。混同しやすいので意味から確認する。


直接法による売却仕訳

直接法で処理している場合、累計額勘定がないため、帳簿価額がそのまま固定資産の残高になっています。

例題3:直接法の売却

備品(帳簿価額¥240,000)を¥280,000で売却し、現金を受け取った。

仕訳

借方金額貸方金額
現金280,000備品240,000
固定資産売却益40,000

コツ:直接法では累計額勘定が存在しないため、「備品」の金額が帳簿価額そのものになる。


期中売却と月割減価償却

なぜ月割計算が必要なのか

固定資産を期首(会計年度の始め)以外に売却した場合、当期の期首から売却日までの減価償却費を計上してから売却処理を行います。

これを「期中売却時の月割減価償却」といいます。

当期売却時の処理の順序:

① 期首〜売却日までの減価償却費を計上する(月割)
    ↓
② 売却日時点の帳簿価額を計算する
    ↓
③ 売却損益を計算して売却仕訳を行う

月割減価償却費の計算式

当期分の減価償却費 = 年間減価償却費 ÷ 12 × 使用月数

注意:使用月数は問題文の指示を最優先します。簿記3級では、期中売却の場合、通常は「当期首の月から売却月まで」を月数で数えます。日割りではなく月割りで計算する点に注意しましょう。


期中売却の例題

例題4:期中売却の基本(月割計算あり)

決算日:3月31日 備品:取得原価¥600,000、耐用年数5年、残存価額ゼロ(定額法・間接法) 前期末の減価償却累計額:¥240,000 売却日:当期10月31日 売却価額:¥200,000(現金受け取り)

ステップ1:年間減価償却費を求める

年間減価償却費 = ¥600,000 ÷ 5年 = ¥120,000

ステップ2:当期分(期首4月〜売却月10月)の月割減価償却費を求める

使用月数 = 4月・5月・6月・7月・8月・9月・10月 = 7ヶ月
当期分 = ¥120,000 ÷ 12 × 7 = ¥70,000

ステップ3:減価償却費の仕訳を計上する

借方金額貸方金額
減価償却費70,000備品減価償却累計額70,000

ステップ4:売却日時点の帳簿価額を求める

累計額 = ¥240,000(前期末)+ ¥70,000(当期分)= ¥310,000
帳簿価額 = ¥600,000 − ¥310,000 = ¥290,000
売却損 = ¥290,000 − ¥200,000 = ¥90,000

ステップ5:売却の仕訳を行う

借方金額貸方金額
現金200,000備品600,000
備品減価償却累計額310,000
固定資産売却損90,000

例題5:期中売却で売却益が出る場合

決算日:12月31日 車両運搬具:取得原価¥1,200,000、耐用年数6年、残存価額ゼロ(定額法・間接法) 前期末の減価償却累計額:¥600,000 売却日:当期4月30日 売却価額:¥700,000(現金受け取り)

ステップ1:年間減価償却費

年間減価償却費 = ¥1,200,000 ÷ 6年 = ¥200,000

ステップ2:当期分(1月〜4月)の月割減価償却費

使用月数 = 1月・2月・3月・4月 = 4ヶ月
当期分 = ¥200,000 ÷ 12 × 4 = ¥66,667(円未満切り捨て)

補足:端数処理は問題の指示に従います。指示がない場合は円未満を切り捨てるのが一般的です。

ステップ3:減価償却費の仕訳

借方金額貸方金額
減価償却費66,667車両運搬具減価償却累計額66,667

ステップ4:帳簿価額と売却益を求める

累計額 = ¥600,000 + ¥66,667 = ¥666,667
帳簿価額 = ¥1,200,000 − ¥666,667 = ¥533,333
売却益 = ¥700,000 − ¥533,333 = ¥166,667

ステップ5:売却の仕訳

借方金額貸方金額
現金700,000車両運搬具1,200,000
車両運搬具減価償却累計額666,667
固定資産売却益166,667

代金の受け取り方による仕訳の違い

固定資産を売却したとき、代金の受け取り方によって借方の科目が変わります。

受け取り方借方科目
現金で受け取った現金
小切手で受け取った現金(他人振出の場合)
後払い(未収)未収入金
普通預金に振り込まれた普通預金

代金が後払いの場合の仕訳

備品(取得原価¥600,000・累計額¥360,000)を¥280,000で売却した。代金は来月受け取る予定。

借方金額貸方金額
未収入金280,000備品600,000
備品減価償却累計額360,000
固定資産売却益40,000

コツ:固定資産の後払いは「未収入金(資産)」を使います。売掛金は本業の売上の後払いに使う科目なので、ここでは使いません。


間違えやすいポイント

ポイント1:累計額の取り崩しを忘れる

間接法で処理していた固定資産を売却するとき、取得原価だけを消して累計額を残したままにするミスです。

売却時は取得原価と累計額の両方を消す必要があります。「借方に現金+累計額、貸方に取得原価」という構造を確認しましょう。

ポイント2:売却損益の向きが逆になる

  • 売却益(収益)→ 貸方
  • 売却損(費用)→ 借方

「売ったら得した(益)→収益→貸方」「売ったら損した(損)→費用→借方」と意味から覚えましょう。

ポイント3:月割計算で使用月数を間違える

期中売却では、当期首の月から売却月までを数えます。一方、取得初年度の減価償却では、取得月から決算月までを数える場合があります。

「期中売却なのか」「取得初年度なのか」によって数え始める月が変わるため、問題文をよく確認しましょう。

ポイント4:固定資産の後払いに売掛金を使う

固定資産の売却代金が後払いのとき、「売掛金」を使うミスがあります。売掛金は本業の売上に使います。固定資産の後払いは「未収入金」です。


練習問題で確認する

次の取引の仕訳を示しなさい(間接法)。

決算日:3月31日 建物:取得原価¥3,000,000、耐用年数30年、残存価額ゼロ 前期末の減価償却累計額:¥600,000 売却日:当期9月30日、売却価額¥2,200,000(現金受け取り)

解答・解説を見る

ステップ1:年間減価償却費

¥3,000,000 ÷ 30年 = ¥100,000

ステップ2:当期分(4月〜9月)の月割

使用月数 = 6ヶ月
当期分 = ¥100,000 ÷ 12 × 6 = ¥50,000

ステップ3:減価償却費の仕訳

借方金額貸方金額
減価償却費50,000建物減価償却累計額50,000

ステップ4:帳簿価額と売却損益

累計額 = ¥600,000 + ¥50,000 = ¥650,000
帳簿価額 = ¥3,000,000 − ¥650,000 = ¥2,350,000
売却損 = ¥2,350,000 − ¥2,200,000 = ¥150,000

ステップ5:売却の仕訳

借方金額貸方金額
現金2,200,000建物3,000,000
建物減価償却累計額650,000
固定資産売却損150,000

まとめ

固定資産の売却仕訳で押さえるべきポイントを整理します。

  1. 売却仕訳の構造:借方に「受取額+累計額(間接法)」、貸方に「取得原価」を置き、差額が売却損益になる
  2. 期中売却は2本の仕訳:①期首〜売却日の月割減価償却→②売却仕訳の順で処理する
  3. 売却損益と代金の後払い:売却益は貸方・売却損は借方 / 代金後払いは未収入金(売掛金ではない)

5ステップの処理順序を毎回固定して練習することで、期中売却の問題も確実に対応できるようになります。


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