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簿記3級の決算整理仕訳を全パターン一覧で整理【チェックリスト付】

演習

簿記3級の決算整理仕訳を全10パターン一覧で整理。売上原価・減価償却・見越し繰延・法人税等など各パターンの仕訳例と計算式を収録。推奨処理順序と直前チェックリスト付き。

この記事でわかること

  • 決算整理仕訳が必要な理由と全体の流れ
  • 簿記3級に出る決算整理仕訳の全パターン
  • 各パターンの仕訳例と計算方法
  • 精算表・財務諸表を解くときの処理順序
  • 本番前に使えるチェックリスト

決算整理仕訳とは

決算整理仕訳とは、決算日に帳簿の金額を正しく修正するために行う仕訳です。

日常の取引を記録するだけでは、収益・費用の計上時期がずれたり、資産の価値減少が反映されなかったりします。決算整理仕訳によって、当期の正確な損益と財政状態を確定します。

日常の取引仕訳
    ↓
決算整理仕訳(帳簿を修正)
    ↓
精算表・財務諸表の作成
    ↓
当期の損益・財政状態が確定する

簿記3級の第3問(精算表・財務諸表)では、この決算整理仕訳が問題の核心です。全パターンを正確に処理できるかどうかが、第3問の得点を左右します。


決算整理仕訳の処理順序

複数の決算整理事項が出題される試験では、処理順序を固定することでミスが減ります。以下の順番で処理するのが標準的です。

補足:この順序でなければ解けないわけではありません。ただし毎回同じ順番で処理する習慣をつけると、処理漏れや混乱を防ぎやすくなります。

処理順序(推奨)

① 売上原価の算定(繰越商品・仕入の修正)
② 貸倒引当金の設定
③ 有形固定資産の減価償却
④ 費用・収益の見越し(未払費用・未収収益)
⑤ 費用・収益の繰り延べ(前払費用・前受収益)
⑥ 消耗品の整理
⑦ 法人税等の確定

決算整理仕訳 全パターン一覧

パターン1:売上原価の算定

概要

期首商品・期末商品を「仕入」勘定に加減算して、当期の売上原価を算定します。

仕訳(2本)

① 期首商品を仕入に振り替え

借方金額貸方金額
仕入期首商品棚卸高繰越商品期首商品棚卸高

② 期末商品を繰越商品に振り替え

借方金額貸方金額
繰越商品期末商品棚卸高仕入期末商品棚卸高

計算式

売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期仕入高 − 期末商品棚卸高

例題

期首商品棚卸高¥50,000、当期仕入高¥300,000、期末商品棚卸高¥40,000。

借方金額貸方金額
仕入50,000繰越商品50,000
借方金額貸方金額
繰越商品40,000仕入40,000

→ 仕入勘定の残高:¥310,000(=売上原価)

よくある間違い

2本の仕訳の順番を逆にする・繰越商品と仕入の借方・貸方を逆にする。「期首は仕入を増やす(仕入が借方)、期末は仕入を減らす(繰越商品が借方)」と流れで覚えましょう。


パターン2:貸倒引当金の設定(差額補充法)

概要

売掛金・受取手形などの債権に対して、将来の貸倒れに備えて引当金を積み立てます。

仕訳

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入繰入額貸倒引当金繰入額

計算式(差額補充法)

必要額 = 債権残高 × 設定率
繰入額 = 必要額 − 引当金残高

例題

売掛金残高¥400,000、設定率2%、引当金残高¥3,000。

必要額 = ¥400,000 × 2% = ¥8,000
繰入額 = ¥8,000 − ¥3,000 = ¥5,000
借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入5,000貸倒引当金5,000

よくある間違い

引当金残高を差し引かず、必要額全額を繰り入れてしまう。差額補充法では「不足分だけ追加する」と覚えましょう。


パターン3:減価償却費の計上(定額法・間接法)

概要

固定資産の価値の目減り分を当期の費用として計上します。間接法では「減価償却累計額」を使います。

仕訳

借方金額貸方金額
減価償却費当期分備品減価償却累計額当期分

計算式(定額法)

減価償却費 =(取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数

残存価額がゼロの場合:

減価償却費 = 取得原価 ÷ 耐用年数

例題

備品:取得原価¥600,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年。

減価償却費 = ¥600,000 ÷ 5年 = ¥120,000
借方金額貸方金額
減価償却費120,000備品減価償却累計額120,000

複数の固定資産がある場合

建物・備品・車両それぞれで計算し、科目も分けて記入します。

借方金額貸方金額
減価償却費××建物減価償却累計額××
減価償却費××備品減価償却累計額××

よくある間違い

「備品減価償却累計額」の科目名を誤る・直接法と間接法を混同する。間接法では固定資産を直接減額せず、累計額勘定を使います。


パターン4:費用の繰り延べ(前払費用)

概要

当期に支払った費用のうち、次期分に相当する金額を「前払費用(資産)」として繰り延べます。

仕訳

借方金額貸方金額
前払費用次期分金額費用科目次期分金額

計算方法

未経過月数を計算する
前払費用 = 年額 ÷ 12ヶ月 × 未経過月数

例題

4月1日に保険料¥36,000を1年分支払い。決算日:12月31日。

経過月数:4月〜12月 = 9ヶ月
未経過月数:12 − 9 = 3ヶ月
前払費用 = ¥36,000 ÷ 12 × 3 = ¥9,000
借方金額貸方金額
前払費用9,000保険料9,000

よくある間違い

経過月数と未経過月数を取り違える。図で月数を確認してから計算しましょう。


パターン5:収益の繰り延べ(前受収益)

概要

当期に受け取った収益のうち、次期分に相当する金額を「前受収益(負債)」として繰り延べます。

仕訳

借方金額貸方金額
収益科目次期分金額前受収益次期分金額

例題

10月1日に家賃¥60,000を6ヶ月分受け取り。決算日:12月31日。

経過月数:10月〜12月 = 3ヶ月
未経過月数:6 − 3 = 3ヶ月
前受収益 = ¥60,000 ÷ 6 × 3 = ¥30,000
借方金額貸方金額
受取家賃30,000前受収益30,000

よくある間違い

前受収益(負債)を借方に書いてしまう。「収益を減らす=借方」「負債が増える=貸方」という意味から考えれば、収益科目が借方・前受収益が貸方と導けます。


パターン6:費用の見越し(未払費用)

概要

当期に発生しているが、まだ支払われていない費用を「未払費用(負債)」として計上します。

仕訳

借方金額貸方金額
費用科目当期発生額未払費用当期発生額

例題

12月分の電話料金¥8,000が翌月支払い。決算日:12月31日。

借方金額貸方金額
通信費8,000未払費用8,000

利息の見越し計算:

未払利息 = 元金 × 年利率 × 当期未払月数 ÷ 12

よくある間違い

「まだ払っていないから計上しなくていい」と誤解する。発生主義の原則により、当期に発生した費用は当期に計上します。


パターン7:収益の見越し(未収収益)

概要

当期に発生しているが、まだ受け取られていない収益を「未収収益(資産)」として計上します。

仕訳

借方金額貸方金額
未収収益当期発生額収益科目当期発生額

例題

貸付金¥500,000(年利3%)のうち、当期4ヶ月分の利息が未収。

未収収益 = ¥500,000 × 3% ÷ 12 × 4 = ¥5,000
借方金額貸方金額
未収収益5,000受取利息5,000

よくある間違い

未収収益(資産)を貸方に書いてしまう。「まだ受け取っていないが当期分の収益として権利がある=資産」と意味から理解しましょう。


パターン8:消耗品の整理

概要

消耗品を購入時に資産(消耗品)として計上している場合、期末に使用分を費用(消耗品費)に振り替えます。逆に費用として計上した場合、期末未使用分を資産に振り替えます。

ケースA:購入時に資産計上→使用分を費用化

借方金額貸方金額
消耗品費使用分消耗品使用分

ケースB:購入時に費用計上→未使用分を資産化

借方金額貸方金額
消耗品未使用分消耗品費未使用分

例題(ケースB)

期中に消耗品¥10,000を費用計上。期末時点で¥3,000が未使用。

借方金額貸方金額
消耗品3,000消耗品費3,000

よくある間違い

問題文の「購入時に資産計上したか・費用計上したか」の指示を読み飛ばす。どちらのケースかで仕訳が逆になるため、問題文の指示を必ず確認しましょう。


パターン9:法人税等の確定

概要

決算で当期の法人税等を確定し、中間納付額(仮払法人税等)を差し引いた残額を未払法人税等として計上します。

仕訳

借方金額貸方金額
法人税等確定税額仮払法人税等中間納付額
未払法人税等差額

計算式

未払法人税等 = 確定税額 − 仮払法人税等(中間納付額)

例題

法人税等の確定額¥180,000。中間納付済¥80,000。

未払法人税等 = ¥180,000 − ¥80,000 = ¥100,000
借方金額貸方金額
法人税等180,000仮払法人税等80,000
未払法人税等100,000

よくある間違い

仮払法人税等を取り崩し忘れて、確定税額全額を未払法人税等にしてしまう。「仮払は必ず消す」と意識しましょう。


パターン10:現金過不足の整理

概要

決算日に残っている現金過不足の残高を、雑損または雑益に振り替えます。

仕訳

現金過不足の借方残(不足)→ 雑損

借方金額貸方金額
雑損残高現金過不足残高

現金過不足の貸方残(超過)→ 雑益

借方金額貸方金額
現金過不足残高雑益残高

よくある間違い

現金過不足を決算後も残したままにしてしまう。現金過不足は仮の勘定科目であり、決算日に必ずゼロにします。


決算整理仕訳 全パターン早見表

#パターン借方貸方
1-①売上原価(期首)仕入繰越商品
1-②売上原価(期末)繰越商品仕入
2貸倒引当金の設定貸倒引当金繰入貸倒引当金
3減価償却費の計上減価償却費○○減価償却累計額
4費用の繰り延べ前払費用費用科目
5収益の繰り延べ収益科目前受収益
6費用の見越し費用科目未払費用
7収益の見越し未収収益収益科目
8A消耗品(資産→費用)消耗品費消耗品
8B消耗品(費用→資産)消耗品消耗品費
9法人税等の確定法人税等仮払法人税等・未払法人税等
10A現金過不足(不足)雑損現金過不足
10B現金過不足(超過)現金過不足雑益

精算表・財務諸表を解くときの実践手順

試験本番では、以下の手順で決算整理を進めることでミスが減ります。

手順1:決算整理事項を全て読む

最初に全ての決算整理事項を通読し、何パターンの処理が必要かを把握します。読み飛ばしによる処理漏れを防ぎます。

手順2:処理順序通りに進める

前述の推奨順序(売上原価→貸倒引当金→減価償却→見越繰延→消耗品→法人税等)に従って、一つずつ処理します。

手順3:各処理後に金額を確認する

1処理ごとに計算結果を確認してから次へ進みます。まとめて処理すると、どこで間違えたか特定しにくくなります。

手順4:最終的に貸借が一致するか確認する

精算表・財務諸表の借方合計と貸方合計が一致しているかを最後に確認します。一致しない場合は計算ミスまたは転記ミスがあります。


決算整理仕訳 本番前チェックリスト

試験直前に以下を確認しておきましょう。

【売上原価】
□ 期首商品を仕入に振り替える仕訳を書けるか
□ 期末商品を繰越商品に振り替える仕訳を書けるか
□ 売上原価の計算式(期首+仕入−期末)を使えるか

【貸倒引当金】
□ 差額補充法の計算式(必要額−残高)を使えるか
□ 貸倒引当金繰入(借方)・貸倒引当金(貸方)の向きが正しいか

【減価償却】
□ 定額法の計算式((取得原価−残存価額)÷耐用年数)を使えるか
□ 間接法で「○○減価償却累計額」を正確に書けるか
□ 複数の固定資産がある場合に科目名を分けられるか

【前払費用・前受収益(繰り延べ)】
□ 前払費用は「費用科目が貸方・前払費用が借方」と確認したか
□ 前受収益は「収益科目が借方・前受収益が貸方」と確認したか
□ 未経過月数の計算ミスがないか

【未払費用・未収収益(見越し)】
□ 未払費用は「費用科目が借方・未払費用が貸方」と確認したか
□ 未収収益は「未収収益が借方・収益科目が貸方」と確認したか
□ 利息の見越し計算(元金×利率×月数÷12)を使えるか

【消耗品】
□ 問題文の指示(資産計上か費用計上か)を確認したか
□ 使用分と未使用分のどちらを計算すればよいか確認したか

【法人税等】
□ 仮払法人税等を取り崩すことを忘れていないか
□ 未払法人税等=確定税額−中間納付額の計算が合っているか

【現金過不足】
□ 残高が借方残か貸方残かを確認したか
□ 借方残→雑損、貸方残→雑益の向きが正しいか
□ 決算後に現金過不足の残高がゼロになっているか

まとめ

決算整理仕訳を攻略するポイントは3つです。

  1. 全パターンの仕訳の形を覚える:早見表を繰り返し確認し、「どのパターンで、どちらが借方・貸方か」を即答できる状態にする
  2. 処理順序を固定する:「売上原価→貸倒引当金→減価償却→見越繰延→消耗品→法人税等」の順で処理し、処理漏れを防ぐ
  3. 計算を丁寧に行う:月数・差額補充・減価償却費の計算は、式に当てはめる前に「何を計算しているか」を確認する習慣をつける

第3問は配点35点の最重要パートです。この記事のチェックリストを本番前に確認し、全パターンを確実に処理できる状態で試験に臨みましょう。


この記事はトッパス(topath.jp)が提供する簿記3級学習情報です。トッパスでは、CBT形式に対応した問題演習と学習ダッシュボードで、あなたの合格をサポートします。

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