【例題つき】簿記3級「現金」の仕訳パターン完全ガイド
簿記3級の「現金」仕訳パターンを網羅。現金の範囲・小切手の受け取りと振り出しの区別・現金過不足の3段階処理(発見・原因判明・決算時)を例題つきで解説。練習問題5問と間違えやすいポイント付き。
この記事でわかること
- 簿記3級で「現金」を使う仕訳パターンの全種類
- 現金と間違えやすい科目(当座預金・小切手・手形)との区別
- 現金過不足の3段階処理
- 試験で頻出の現金仕訳と対処法
簿記における「現金」とは
簿記の「現金」は、日常語の「現金(紙幣・硬貨)」より範囲が広いです。
簿記3級で「現金」として処理するもの
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 通貨 | 紙幣・硬貨 |
| 通貨代用証券 | 他人振出の小切手・郵便為替証書・配当金領収書 |
補足:自己振出の小切手(自分が振り出した小切手)は現金ではなく当座預金の減少として処理します。他人振出の小切手を受け取った場合のみ現金として処理します。
現金の基本ルール
現金は資産グループの勘定科目です。
資産が増える → 借方(左)
資産が減る → 貸方(右)
現金が入ってきたら借方、出ていったら貸方、という向きを基本として覚えておきましょう。
現金の基本仕訳パターン
パターン1:商品を現金で販売する
商品¥80,000を現金で販売した。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 80,000 | 売上 | 80,000 |
解説:現金(資産)が増える→借方。売上(収益)が発生する→貸方。
パターン2:商品を現金で仕入れる
商品¥50,000を現金で仕入れた。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
解説:仕入(費用)が発生する→借方。現金(資産)が減る→貸方。
パターン3:経費を現金で支払う
通信費¥5,000を現金で支払った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
解説:費用が発生する→借方。現金が減る→貸方。
パターン4:売掛金を現金で回収する
売掛金¥60,000を現金で回収した。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 60,000 | 売掛金 | 60,000 |
解説:現金が増える→借方。売掛金(資産)が減る→貸方。
パターン5:買掛金を現金で支払う
買掛金¥40,000を現金で支払った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 40,000 | 現金 | 40,000 |
解説:買掛金(負債)が減る→借方。現金が減る→貸方。
パターン6:借入金を現金で受け取る
銀行から¥200,000を借り入れ、現金で受け取った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 200,000 | 借入金 | 200,000 |
パターン7:借入金と利息を現金で返済する
借入金¥200,000と利息¥2,000を現金で返済した。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借入金 | 200,000 | 現金 | 202,000 |
| 支払利息 | 2,000 |
解説:複合仕訳。借方合計(¥202,000)=貸方合計(¥202,000)を確認する。
「現金」と間違えやすい処理
小切手の受け取り:現金として処理する
得意先から売掛金¥70,000を小切手で受け取った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 70,000 | 売掛金 | 70,000 |
コツ:他人振出の小切手は「現金」として処理します。「小切手を受け取った」という問題文が出たら、受け取り側は現金です。
小切手の振り出し:当座預金として処理する
仕入先への買掛金¥50,000を小切手を振り出して支払った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 50,000 | 当座預金 | 50,000 |
コツ:自己振出の小切手は「当座預金」が減少します。「小切手を振り出した」という問題文が出たら、支払い側は当座預金です。
郵便為替証書・配当金領収書の受け取り:現金として処理する
配当金領収書¥3,000を受け取った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 3,000 | 受取配当金 | 3,000 |
コツ:郵便為替証書・配当金領収書は「通貨代用証券」として現金に含めます。
現金と普通預金・当座預金の使い分け
| 場面 | 使う科目 |
|---|---|
| 紙幣・硬貨の受け取り | 現金 |
| 他人振出の小切手の受け取り | 現金 |
| 普通預金口座への入金 | 普通預金 |
| 当座預金口座への入金 | 当座預金 |
| 小切手の振り出し | 当座預金(減少) |
現金過不足の仕訳
実際の現金残高と帳簿上の現金残高が一致しないとき、「現金過不足」勘定を使って一時処理します。
3段階の処理
第1段階:不一致を発見したとき(現金過不足で一時処理)
↓
第2段階:原因が判明したとき(正しい科目に振り替え)
↓
第3段階:決算時に原因不明の残高を雑損・雑益に振り替え
第1段階:不一致の発見
現金が帳簿より少ない(不足)場合
実際の現金残高が帳簿より¥3,000少なかった。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金過不足 | 3,000 | 現金 | 3,000 |
コツ:現金が実際には少ない→現金(資産)を減らす→貸方。不足額を現金過不足の借方に計上。
現金が帳簿より多い(超過)場合
実際の現金残高が帳簿より¥2,000多かった。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 2,000 | 現金過不足 | 2,000 |
コツ:現金が実際には多い→現金(資産)を増やす→借方。超過額を現金過不足の貸方に計上。
第2段階:原因の判明
不足の原因が判明した場合
現金過不足¥3,000(借方残)のうち、通信費の未記帳¥3,000が原因と判明した。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 3,000 | 現金過不足 | 3,000 |
コツ:原因が判明したら現金過不足を消し、正しい科目に振り替える。
一部だけ原因が判明した場合
現金過不足¥3,000(借方残)のうち、通信費の未記帳¥2,000が原因と判明した(残り¥1,000は不明)。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 2,000 | 現金過不足 | 2,000 |
この時点では残りの¥1,000は現金過不足のまま残しておきます。
第3段階:決算時の処理
決算時に借方残が残った場合(雑損)
現金過不足の借方残高¥1,000の原因が不明のまま決算を迎えた。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 雑損 | 1,000 | 現金過不足 | 1,000 |
決算時に貸方残が残った場合(雑益)
現金過不足の貸方残高¥2,000の原因が不明のまま決算を迎えた。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金過不足 | 2,000 | 雑益 | 2,000 |
現金過不足のまとめ
| 状況 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 不足発見時 | 現金過不足 | 現金 |
| 超過発見時 | 現金 | 現金過不足 |
| 原因判明時(不足側) | 費用科目 | 現金過不足 |
| 原因判明時(超過側) | 現金過不足 | 収益科目 |
| 決算時・借方残(不足) | 雑損 | 現金過不足 |
| 決算時・貸方残(超過) | 現金過不足 | 雑益 |
練習問題
次の取引について仕訳を示しなさい。
(1)商品¥120,000を現金で販売した。 (2)得意先から売掛金¥80,000を他人振出の小切手で受け取った。 (3)仕入先への買掛金¥30,000を小切手を振り出して支払った。 (4)現金の実際残高が帳簿より¥5,000少なかった。 (5)(4)の不足のうち¥3,000は旅費交通費の未記帳と判明した。残り¥2,000は決算時も不明。
解答・解説を見る
(1)現金販売
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 120,000 | 売上 | 120,000 |
現金(資産)が増える→借方。売上(収益)→貸方。
(2)小切手の受け取り
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 80,000 | 売掛金 | 80,000 |
他人振出の小切手は現金として処理する。
(3)小切手の振り出し
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 30,000 | 当座預金 | 30,000 |
自己振出の小切手は当座預金の減少。現金ではない。
(4)現金不足の発見
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金過不足 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
(5)原因判明+決算時処理
原因判明分:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 3,000 | 現金過不足 | 3,000 |
決算時(残り¥2,000が不明):
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 雑損 | 2,000 | 現金過不足 | 2,000 |
間違えやすいポイント
ポイント1:他人振出の小切手を現金以外にしてしまう
「小切手を受け取った」→現金、「小切手を振り出した」→当座預金、という区別を確実に覚えておきましょう。
ポイント2:現金過不足の借方・貸方が逆になる
現金不足→帳簿上の現金を減らす(貸方に現金)→現金過不足は借方。 現金超過→帳簿上の現金を増やす(借方に現金)→現金過不足は貸方。
意味から考えれば覚えられます。「現金が少ない→減らす→貸方」と頭に入れましょう。
ポイント3:雑損と雑益の向きが逆になる
雑損は「損失(費用)」→借方。雑益は「利益(収益)」→貸方。
決算時の処理で「現金過不足が消える方向」を意識すれば、自然に正しい向きになります。
まとめ
現金の仕訳で押さえるべき3つのポイントを整理します。
- 現金の範囲を正確に把握する:紙幣・硬貨に加え、他人振出の小切手・郵便為替証書・配当金領収書も現金に含まれる
- 小切手の区別を徹底する:受け取り→現金 / 振り出し→当座預金
- 現金過不足は3段階で処理する:発見時→現金過不足 / 原因判明→正しい科目 / 決算時→雑損・雑益
これらのパターンを練習問題で繰り返し確認し、問題文を読んだ瞬間に仕訳が浮かぶ状態を目指しましょう。
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